反射は生物にとって必要ですが、バランスが取れるように調整されています。反射を抑える命令も脳から伝わり調整に関わります。
脳で筋肉を動かそうと思うと、命令は脳で加工され、脊髄を通って脊髄にある運動神経に伝わり、運動神経が興奮して筋肉が動きます。脳からは抑制性の命令も届き、腕を曲げる時は腕を伸ばす筋肉に力を緩める命令が届きます。
脳から運動神経までの経路が損傷されると、脳からの信号が届かなくなります。動かすための命令が届かないと筋肉は動かなくなり、麻痺します。抑制性の信号が届かなくなると、反射を抑えていた信号が無くなり、脊髄の運動神経が勝手に興奮して筋肉が動き、痙縮を呈します。
脳から脊髄のどこか(あるいは両方)を壊してしまう病気やけがは痙縮の原因になります。外傷による損傷、血管からの出血による周囲の組織の圧迫、血管がつまることにより組織が壊死する梗塞、神経が変成してしまう疾患、脊髄の通り道の脊柱管の変形などで経路が障害されます。